大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)1628 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人庄司進一郎の上告趣意一は、原判決は憲法一四条に違反すると主張するが、

所論のように本件は共産党員の事件で原審が本件「犯罪事実」を差別的に犯罪とし

て取上げたということは記録上認められないから、違憲論はその前提を欠き採用す

ることはできない(なお、本件の暴行傷害は刑法規定の犯罪に該当しないという主

張は論旨独自の見解であつて、被告人等の行為が違法性乃至可罰性を阻却するもの

とは認められない)。

同二は、原判決は憲法三七条二項に違反するという。しかし原判決は、一審裁判

所においては証人A再喚問のため種々調査したがその所在不明(論旨では、所在し

ない熊本県内のみを調べて所在判明している大阪方面を故意に調査しなかつたとい

うもこのことは記録上認められない)であつたから刑訴三二一条一項一号の書面と

して同証人の供述部分を証拠としたものであることが認められるから、被告人Bと

の関係において反対訊問ができなかつたというだけで証拠能力を欠くものとするこ

とはできない趣旨を正当に判示しているのである(昭和二九年(あ)第一五四号同

三〇年一一月二九日第三小法廷判決集九巻一二号二五二四頁参照)。されば所論違

憲論はその前提を欠き採用しえない。

同三、論旨は、原判決の説示は権力によるスパイ行動を合法化する誤りを犯して

いる違憲判決であるというが、Aらが所論のようなスパイであるということは原判

決の認定していないところであるから所論違憲論はその前提を欠き採るを得ない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

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昭和三一年五月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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